商業捕鯨と科学調査捕鯨部門の他に、国際捕鯨委員会(IWC)は先住民生存捕鯨と呼ばれる第3の部門の捕鯨を管轄管理している。1981年にIWCは先住民生存捕鯨を以下のように定義している(IWCと先住民生存捕鯨、IWC and Aboriginal/Subsistence Whaling: 特別発行版4,1、1979年4月―1981年7月):
- 先住民生存捕鯨とは地方的原住民の消費のため、先住の人々による、彼らのためのもので、彼らは捕鯨及び鯨の利用に、引き続き伝統的に依存しているという点で、強い社会、家族、及び文化的な団結をもって結ばれているもの。
- 地方的消費とは原住民の栄養、生存、文化的必要性を満たすため彼らが鯨肉産物を伝統的に利用すること。この用語には生存のための捕獲から得られる副産物の交易も含まれる。
- 生存のための捕獲とは先住民生存捕鯨操業による鯨の捕獲である。
しかしながら実際には原住民生存捕鯨と商業捕鯨の区別を線引きすることは簡単なことではない。 商業捕鯨とは何かの定義さえされていない。
- この2つの捕鯨分野にそれぞれ異なる管理目標を適用すべきかどうかで、常に議論が分かれてきた。一方では、「いかなる捕鯨活動もそれ自身の文化を持ち、その国の歴史に深く根付いている:2つのタイプの捕鯨は人と資源としての鯨の間の相互作用が同じであるので、同じ原則と管理目標が適用されるべきだ。」(IWC特別発行版4,1)他方、先住民生存捕鯨に分類されている捕鯨は商業的要素も持っている、たとえば、グリーンランドでは鯨肉がスーパーマーケットで販売されている。「あなたの家族に直接鯨肉を食べさせることと、鯨肉を売ったお金で他の食べ物を買って食べさせることと、どこに違いがあるのだろうか。そこに区別をつけることは、私には難しいことだ。」と元IWC事務局長のレイ・ギャンベル博士(Dr Ray Gambell)は述べている。(ハイ・ノース・ニュース、High North News, bX,1994)
- この分野の捕獲限度は一人当たりの推定消費量からその地域人口の必要量を計算して決める。しかし推定必要量より枠が低く設定されるグリーンランドには、これは適用されない。
- 先住民生存捕鯨の定義にくくられる人々の中には、これは裏返して云えば人種差別だ、という者も居る。「我々から産物を商業的に捕獲し交易する権利を奪うことは、我々を博物館のケースに閉じ込めることと同じだ。我々は21世紀に生きている民族で、大英博物館からの陳列物ではない。(・・・)商業は持続的開発の概念の一部であり、それに参加することは我々の権利である。先住民捕鯨者を非商業捕鯨体制に限定することは新植民地主義の何物でもない、」とクリーンランド漁業・狩猟協会(KNAPK)会長リーフ・フォンテインは述べている。(インターナショナル・ハープーン、The International Harpoon, bR、2000、「商業的である権利」)
- もし定義が不明確ならば、それは行く通りにも解釈できる。例えば、マカー族、アメリカのシアトル近郊の原住部族、が70年間の中断の後コククジラの狩猟捕獲枠を要求した際、彼らはいかなる「継続的にして伝統的依存性」も持っていない、とニュージーランドは主張した。それゆえ、マカー族は先住民生存捕鯨の分野での捕獲枠は与えられるべきではない。
- 先住民生存捕鯨の捕獲割り当ては栄養的、生存的そして文化的な面で実証された必要物だが、IWCはある特定の民族にある特定の枠を割り当てることが出来ない。IWCが出来ることは、ある特定の系統郡について捕獲枠を決めることだけだ。
IWCが設定した原住民生存捕鯨捕獲枠:
- ・ ベーリング海・チュクチ・ボーフォート海のホッキョククジラ系統群(アメリカのアラスカ・エスキモーおよびロシアのチュクチャ住民による利用)− 総数280頭のホッキョククジラを2003年から2007年の間に陸揚げ出来る。年間銛打ちの数は67頭を超えてはならない。(各年15までの未使用銛打ちは翌年に繰り越すことが出来る)。
- 北太平洋東部系統群のコククジラ(伝統的、原住民的、生存的消費の必要性が認められている、例えばアメリカのマカー族とロシアのチュクチャ住民)− 2003年から2006年の総頭数は620頭で、1年間の最大捕獲頭数は140頭とする。
- 西グリーンランド系統群のナガスクジラ(グリーンランド人による捕獲)− 2003年から2006年まで年間19頭づつ。
- ・ 西グリーンランド系統群のミンククジラ(グリーンランド人による捕獲)− 2003年から2006年の間、年間それぞれ銛打ち出来る頭数は175頭を超えては成らない。(15頭まで翌年に繰越可能)
- ・ 東グリーンランド系統群のミンククジラ(グリーンランド人による捕獲)― 2003年から2006年にわたって、年間12頭まで。(3頭まで翌年に繰越可能)
- ・ ザトウクジラ(セントビンセント・アンド・グレナディンによる捕獲)− 2003年から2007年の漁期において20頭を超えてはならない。ちなみに年平均頭数は4頭。
HNAの見解ハイ・ノース・アライアンスは先住民族は或るケースにおいては積極的な特別待遇を受ける資格があると確信している。しかしこの待遇は彼らの発展の邪魔になってはならないし、彼らの意思に反して押し付けてはならない。IWCで行われている先住民生存捕鯨には欠点がある。この定義にはいる人々はみな憤慨している。商業捕鯨と先住民生存捕鯨の間を区別する線はあいまいだ。時代遅れの先住民生存捕鯨の分類は廃止し、IWCが同じ管理目標によって全ての捕鯨を管理することが好ましいのではないか。この体制は、その基礎となる条約、国際捕鯨取締条約、国連海洋法及びアジェンダ21に具現化された保全と持続的利用の原則、の精神と条文に立脚しなければならない。
もっと知りたい人はここをクリック (ただし英文のみ):Aboriginal Subsistence/Culture(原住民生存/文化)
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